糖尿病と栄養 – Personal Training Studio you

2022/4/30

糖尿病と栄養

今回は「糖尿病と栄養」について。

 少し難しい話になりますが、興味のある方お付き合いください!

 結論から言いいますと

「糖尿病は食事の力でちゃんと改善することができる」

 海外の研究論文では、まだ世界のスタンダードとして発表はされていないが研究上の合意は得られていて、これ以上の強い根拠は出ないであろうとまで結論づけられています。

 では、内容をざっと紹介していきます。

 生活習慣病として有名な糖尿病。それってどんな病気なのか。読んで字の如く、糖が尿として排泄される病気。ではあるのですが、の実際はというと、血糖を筋肉などに吸収するために必要なホルモンであるインスリンの分泌が少なくなってしまうことで糖の血中濃度が高くなってしまうというもの。

 血糖値が高い状態が続くと、毛細血管を傷つけて損傷を起こしたり、細胞の中に糖の濃度が濃くなることで浸透圧の影響で細胞が膨れ上がり壊されてしまう、といった合併症が起こることが大きな問題です。糖尿病性網膜症や腎症、神経障害などが有名で、失明したり透析が必要になったり、怪我していることに気が付かず末端の指や足などを切断しなければならないケースもあります。そのためにも、薬による血糖値コントロールが治療となります。

Ⅰ型糖尿病:先天的な要因などでインスリンが作れない状態(糖尿病の約10%)

Ⅱ型糖尿病:食事などの生活習慣によりインスリン抵抗性が起こることで発症する糖尿病(約90%)

 正常な状態では、食事などにより血糖値が上がると、膵臓のランゲルハンス島という場所からインスリンが分泌されます。このインスリンが出ることで、細胞の表面(筋肉をイメージするとわかりやすいかも)にGLUT4という糖を細胞に取り込むための物質が出現します。これが細胞内に糖を取り込んでくれるという仕組みになっています。

 しかし糖尿病になるとインスリンの分泌が無いあるいは少なくなってしまうことで、このGLUT4が出現できず細胞に糖を取り込めなくなり血中に糖が残ってしまうのです。

 インスリンが出ないことで、もう一つ問題が。

 血糖値が下がると、肝臓で糖新生と呼ばれる、肝臓に貯蔵したタンパク質をアミノ酸に分解しそれを糖に変換してエネルギーに変えるという作用が起こるのですが、それを抑制するのがインスリンなんですね。糖尿病になることでインスリンが分泌されなくなると、この糖新生も抑制されなくなりタンパク質の分解が進むことでさらに血糖値が上がってしまうという負のスパイラルが起こるのです。怖い…

 やはり血糖のコントロールが重要。

 しかし、100年近く前に行われたこんな研究があります。

 3大栄養素と言われる、炭水化物・タンパク質・脂質をそれぞれ摂取し、その後の血糖値の上昇を調べた研究によると、なんと血糖値の最大の上昇を示したのは脂質だったんです。ちなみに炭水化物は一番低かったというデータ。

 なぜこの現象が起こるかということを調べた別の研究では、血中の遊離脂肪酸がインスリン抵抗性を生み出すという結果に。骨格筋の糖の利用を遊離脂肪酸が阻害していて、さらにⅡ型糖尿病の方は血中の遊離脂肪酸の濃度が高く、それはケトジェニック食の方と同じような状態であると…(長期のケトジェニックがどうなるかは想像がつきますよね)

 また、肥満による糖尿病の発症リスクが上がるのはよく知られていることなのですが、そのメカニズムとしても、肥満によって変性した脂肪細胞マクロファージを活性化、その結果慢性炎症とインスリン抵抗性を促進するということがわかっています。

 

 ちなみにアメリカでは子供(8歳からという報告も!)の糖尿病の発症率が上がっていて、死亡率やさまざまな病気の発症率が上がり、寿命が20年、さらに健康寿命が10年、健康でいられる状態が合計30年短くなるとのデータもあるほど。これはなんとしても糖尿病を抑えないといけないですよね。

 じゃあどうすれば糖尿病を予防・改善できるのか?

 答えはベジタリアン食にありました。

 ベジタリアンでは無い人、少しの肉・魚・乳製品を摂る人、肉は食べない人、肉も魚も食べない人、野菜しか食べない人の5種類のグループを調査したところ、一番体重が低かったのは野菜しか食べないヴィーガングループでした。

 また、それぞれの栄養摂取量を調べたところ、栄養素を多く摂っているのもヴィーガングループという結果も。

 肥満を予防することが2型糖尿病の発症リスクを下げることにもつながるので、体重を増やさない、栄養もしっかり摂れるという意味でも菜食は大切なんですね。

先ほどの5種類の食事形態の方々の糖尿病有病率を調べた別の研究では、ヴィーガン食の方の発症率が一番低いという結果となっています。

 内容がやや難しい上に長くなってしまいましたね…

 やはり飽和脂肪酸を含む肉は、肥満のリスクを上げるどころか脂肪毒性(飽和脂肪酸によって起こる)を起こし、インスリン抵抗性が生まれ糖尿病の発症リスクを上げるということもわかっているので、肉はほどほどにした方がよさそうです。

 また、糖尿病になった人のコントロールとして、アメリカ糖尿病学会の推奨する食事内容とヴィーガン食を比べたところ、ヴィーガン食が圧倒的に糖尿病数値を改善したという結果も出ています。しかもヴィーガン食はカロリー制限をしていないというハンデ付き!すごいですね!さらに精神的な満足度も高かったそうな。

 さらに安静時代謝も高く、摂取カロリーも総じて低い上に、交感神経系のホルモンであるノルアドレナリンの分泌量も高かったという結果。凄い…

 エビデンスに基づいた完全な植物ベースの食事を糖尿病患者に与えたところ、血糖値の平均値を表すHbA1cが劇的に下がり、薬を減らしたり止めることができた人もいるそうです。これはメトホルミンという内服薬と同程度の効果量だったとの報告も。しかも薬の副作用もなく、さらに高血圧・高脂血症・炎症・発癌リスクも下がるという…

 やはり食事、特に野菜を豊富に摂るって大事ですね。

食事の重要性を再認識しました。

 科学的根拠に基づいた食事指導をしていけるよう、今後もやっていこうと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!