2022/10/16

お客様のケース紹介

お客様の実例

今回はお客様のケースをご紹介したいと思います。

お客様の簡単な情報

40代:女性

主訴:慢性的な腰痛。1年前から最近まで四十肩で悩んでいた(最近は改善してきている)

目的:腰痛の改善。姿勢を直したい。

姿勢評価

後ろから見た状態で明らかに左の肩が上がっていて傾いている状態でした。その影響か右に重心が寄っている。

腰の痛かった部分を確認すると左側ということだったので、姿勢からもわかるように左側の背中〜腰を反らせて立つという癖がありそうな状態でした。

横から見てみると、左右ともに腰の位置が重心線から前にスライドしているような姿勢。

・腰が反ることで前に重心が寄る

・その影響で背中が反り首を伸ばして頭の位置がやや後方になっている。

・その上半身の重心のズレを脚の前側の筋肉を使ってバランスをとっているということが見て取れました。

後ろから見た姿勢
横から見た姿勢

呼吸の評価

肩を上げるように呼吸し、かつ一回の呼吸で吸う量が多い。

動きの評価

・片脚で立ってもらうと左足で立つときにバランス感覚が極端によくない

・いろいろな動きの中で腰を反るように手足を動かしている

・歩くときにも腰が反るように歩き、左足を庇うようにびっこを引いて歩いている(左右の歩幅のバランスが悪い)。腕の振りが見られない。

というような評価となりました。

まずは呼吸から改善を図り、その後、ガチガチに固まっていた上半身を呼吸法を中心としたストレッチに近い運動で緩めていきます。

上半身に緩みが出たところで体幹トレーニングを開始。やはり体幹が極端に弱く、目的の動作がなかなかできませんでした。

初回は、呼吸の獲得・上半身の緩みを出すこと・体幹のトレーニングを正しい動作で行えるようにする、ということに重きを置きその日は終了。

そのbefore/afterが以下です。

後ろから見た姿勢。左肩の上がりが改善。
右から見た姿勢
左から見た姿勢。腰の反りが改善。

まずは左肩の上がりが是正されました。(この時点でまだ多少の肩の上がりはありますが)

腰の反りも多少の改善が見られ、ご本人からは「下腹部あたりに重心があるような感覚がする」との感想もいただけました。

歩行の際も胸を中心に回転運動が見られ腕の振りも見られました。

2種目ほどの自宅でできるエクササイズをお伝えして、その日は終了。

2回目のトレーニング

2回目の写真は撮影していないのですが、左肩の上がりが元に戻っているような状態で来店。前回ほどではないものの、上半身の硬さも若干あります。お仕事上、常時マスクを着用していて、呼吸を意識するようになってからは苦しくて深呼吸していることが多いことに気づいたとのこと。

多少の呼吸の乱れが見られたため、再度、呼吸からはじめます。

胸まわり背中〜腰回りも硬く、そこも前回同様ストレッチやエクササイズを通してほぐしていきます。

動きを出したところで体幹トレーニングを行い、その日も初回と同様なエクササイズを提供し終了となりました。

トレーニング後の体感はよく、「スッキリした」と感想をいただき、また次回。

3回目・感覚器へのアプローチ

少しは良くなっていましたが、やはり左肩の上がりが気になる姿勢。

「呼吸は慣れてきて、マスクをしていても以前ほどのキツさや深呼吸することも随分少なくなった」

と、呼吸に関しては改善が見られました。

しかし、姿勢が気になる。

もしや?

と思い

私「よく身体の左側をぶつけるとかないですか?」

お客様「そういえば仕事中、よく左の頭をぶつけることが多いかも。」

私「他に生活のなかで、何か気になることはないですか?特に左側に関して」

お客様「車を運転していて、ここ1ヶ月で2回くらい人を轢きそうになった!どちらも左側から人が出てきて。ちゃんと左右確認して運転していたのに。」

ここで疑ったのは、視野の部分と空間把握能力。

まずは視野。

左右の視野の広さを確認してみると、左側の視野が右に比べて1/4ほど狭いことがわかりました。

そして目の動き。

頭を固定した状態で物を目で追いかけるように見てもらうと、目を左側に動かすときの動きが鈍く頭もついてくる(パスート・サッケードなどといいます)。

逆に、物を固定して頭を左右に動かして目はその物を見つめ続けるという動きをしてもらうと(VOR:前庭動眼反射といいます)、

顔を右に回転させながら、目は物を見続けるという動きのときに、目が堪えきれず顔と同じ方向に勝手に動いてしまうという現象が起こりました。

これが日常生活の中で、「ご本人はしっかり見ていても、実際は見えていない」ということが起きていて、左から人が来ているのが見えず轢きそうになったということに繋がっているのではないかと考えます。

そして空間把握能力に関しても同様のことが。自身の左側の空間の認知能力が不十分なため、よく左側の頭をぶつけるということに繋がっていたと思います。

目に関しても、空間把握に関してもトレーニングすることで改善が可能です。

そしてもう一つ。

右手と左手の動きに左右差がありました。

左手の動きが右手に比べて明らかに鈍い。そして本人も「思うように動かなくて気持ち悪い」と言う。その上で、左耳が右に比べて過敏に音が聞こえると言うこともわかりました。

それに関しても、正しい刺激を与えることで改善が可能です。

これまで挙げてきた「視野」「空間把握能力」「動きの左右差と左耳の過敏さ」は姿勢に繋がっています。

実際、この方は全て左側に異常(この表現はあまり使いたくないですが、わかりやすいのでこう表現します)が見られました。

そして姿勢は左側の肩が上がっていたり、背中〜腰が反っていたりします。

本人に自覚はなくても、身体は自身の感覚に異常を感じ取っています。

その異常な感覚から身を守るために、常に身体の左側を緊張させていると考えられます。

その結果がこの方のような姿勢に現れるというわけです。

感覚の異常は神経にもアプローチをかけて脳にも結構な負荷になります。

改善のためのエクササイズや刺激を入れることで、頭がクラクラしたり人によっては気分が悪くなる、突然眠くなる、なんて方もいらっしゃいます。

ですが、それも必要な刺激なので、状況に応じてゆっくりとやっていきます。

この感覚器への刺激入れと、エクササイズをして3回目のトレーニングも終了。

4回目

これまでの来店した際の姿勢とは別人で、左右の極端な差が見られなくなっていました。

できる範囲でご自宅で目のトレーニングもやっていて下さったそうで、目の動きにも改善が見られていました。

何より、よく眠れるようになったそう。

そしてこれ以降は、エクササイズやトレーニングをしても姿勢が極端に元に戻ると言うことは見られなくなり、しっかりと姿勢改善が見られはじめました。

腰痛の発症

しかし、数日後。このお客様より腰痛で仕事ができないほどになってしまったと連絡が。

とりあえず病院を受診して骨に異常は見られないのを確認して、ご来店。

動きを出すためのエクササイズで背中〜腰の張りが取れ楽に動けるようにはなりました。

感覚器の改善もできていて、エクササイズで姿勢もよくなってきている。

じゃあなぜ腰痛が起きたのか?

その前後の仕事や生活の中で心当たりがないかを、お客様と共に考えます。

そして一つ気になったことが。

普段や仕事で履いてる「靴」はどんな物か。

聞くと、最近流行りの靴底のクッション性の高いもの。

実はこの方、昔から扁平足と言われ足のアーチがちゃんと形成されていない足の形をしているんです。

アーチ形成が不十分ということは、足で自身の体を支えるのが不安定になってしまうんです。

足が不安定ということは、その上に乗っかっている脚、膝、骨盤、背骨などを支えることも不安定になってきます。

不安定な状態の足に、不安定になりやすいクッション性の高い靴を履いてしまうとさらに不安定になってしまいます。

仕事ではよく歩くことが多いため、一歩一歩を不安定な状態で歩いているということです。

そうなると、身体は必ずどこかでそれを補おうとします。

この方の場合はそれが、前ももの筋肉で補っていて、結果的に腰が反ってしまい腰痛を引き起こしたのではないかと考えました。

そこで提案したのが「靴を変えること」

オススメの靴を紹介し、可能であればとお伝えしました。

1週間もしないうちに靴を買い替えてくださり、仕事に臨んだそうです。

そしたらその日のうちに職場の上司から

「姿勢がよくなっている。歩き方も変わった?」

と声をかけられた、と。

特に当サロンに通っているなどの話はしていなかったそうです。

そしてその後、腰痛もなくなり、足が疲れにくくなったという副産物も生まれました。笑

1ヶ月でこれだけの改善が見られた

実はこの方、9月から当サロンに通いはじめた方で、これまでの話はここ1ヶ月での出来事です。

月額性の通い放題プランで通って下さっている方で、週に2回ほど来店しています。

その中で、これだけの改善が見られました。

もちろんご自宅で出来るエクササイズをしっかりとやっていただいた結果です。

当サロンで提供できるのはキッカケ作り。自身の状態に気づき、改善するための行動を継続していただけることで、これだけの変化が見られます。

当初の目標は「年内の卒業」でしたが、なんだかそれよりも早まりそうな気がしてきています。笑

長くはなってしまいましたが、以上がお客様のケースでした。

また、別のお客様のお話もお伝えできればと思います。